2023/01/27
こんにちは。ペットホテル&サロン デルタの佐々木です。
デルタではトリマーさんの転職を応援しています。
トリマーさんが転職により自身の市場価値を最大化して働くことが、最終的には飼い主様のためになると考えているためです。
今回はキャリア選択肢の一つとして開業についてのお話です。
「開業をしたい」と語るトリマーさんは多いのですが、その大部分が「したい」で終わってしまっています。
なぜ開業をしたくてもしないトリマーさんが多いのか、どういう人が開業に向いているのかを書いていきます。
「開業したい」多くのトリマーさんがそう思っている
サロンのオーナーとしてたくさんのトリマーさんとお話をしてきましたが、多くの人が一度は開業を考えています。
開業をしたい理由は
- 自分のお店を持つってカッコイイ
- 自分の理想としているトリミングを実施したい
- 収入を上げたい
- まったりはたらきたい(年齢が上の方)
などが多いです。
特に若い人は「将来開業したい」とほぼ100%の人が言っている気がします。
ちなみにこの開業願望は、経験年数が増えれば増えるほど減ってきます。
誰もが開業を希望しているのに、経験年数が増えると開業願望が失われるのはなぜでしょうか?
独立開業のデメリット:経営の仕事が大変
開業を検討しているトリマーさんの多くは、実際に開業をするにはどうすればよいかを考えます。
- 店舗の借り方は?
- 行政にどういった登録をすればよい?
- 確定申告とは?
- ケガをさせた場合はどうする?
- 開業にいくらくらいかかりそう?
少し頭の良い方は上の項目に比べてもう少し詳しく考えます
- 今と同じくらいの年収を稼ぐにはどれくらい働けばよい?
- 広告にはどれくらいの費用が掛かる?
- 税金の払い方は?
- 人を雇うにはどういう手続きが必要?
さてあなたはどれくらいまで考えられていましたか?
上記の項目は、開業する際に発生する仕事のほんの一部です。
もっと、つまらないけど必要な事務処理がたくさんあります。
大半の人はここで開業を諦めてしまいます。
「こんなに面倒なら今のままでいいや、、、」
確かにこの時点で抵抗を感じるのであれば、開業しない方が良いと思います。
開業時だけでなく、開業後もおそらくあなたの想像の10倍以上の事務処理が待っています。
こういった書類仕事が苦手なのであれば独立はしない方が良いでしょう。
今あなたのお店ではそれらの仕事をオーナーや社員たちが行っています。
開業するということは経営者になるということです。
貴方は自分の稼いだ額のうち半分以下のお給料しかもらっていないでしょう。
そして開業すればそれが自分の手元に全部入ると考えるかもしれませんが、そのピンハネ(?)されているお金でオーナーがめんどくさい仕事をやってくれています。
開業すれば確かに手取りは増えるかもしれませんが、集客、マーケティング、人材採用、書類の発注、売上のまとめ、確定申告の準備、、、これらの仕事を自分で行わなければなりません。
開業すると確かに手取りが増えるケースが多いですが、その分仕事量も増えてしまいます。
開業すれば稼げる?は確実ではない
では開業後はどれくらい稼げるのか推定してみましょう。
ケースとして
- 一人でお店を回す
- 店舗を借りる
- 1日8時間勤務
- 月20時間営業
- 1日3頭、3万円ほどの純売上
上記のケースだとどれくらい稼げそうでしょうか、売上と支出を表にまとめてみしょう。
売上が月60万にたいして、家賃が10万円、その他消耗品、広告費などの水道光熱費諸々かかって、支出は21万円。
そうすると差し引きの手取りは39万円
どうでしょうか?年収はこの12倍なので年収468万円です。
トリマーの平均給与から見ると悪くない数字に見えますが、ここで忘れないで欲しい労働時間について考えてみましょう。
これまでのお店で正社員として1日8時間、月20日ほど働いていたとします。
開業後はそれに加えて以下のような労働時間が加わります。
労働時間は60時間ほど増えていますね。
それでは手取りと労働時間から時給を換算すると開業後の時給は1,772円です。
時給を見るとどうですか?
それなりに高い額ではありますが、うちのお店のリーダートリマーと同等くらいです。
しかも上記の換算は月々の最低限の労働時間で、トラブルが発生したら、その時間も取られるし、確定申告の時期にはさらに別の仕事が舞い込んできます。
もしうちのリーダートリマーだったら、余計な仕事が増えて給与は変わらないので、給与のことを考えただけで独立するメリットはありません。
さらに売上を維持できるかどうかも不安です。
ある程度お店が繁盛して、予約がいっぱいだよ、というときにも、当日にキャンセルが入ったりすることはよくあります。
また、もし自分が体調を崩したりしても代わりに動いてくれる人はおらず、有給を取ることもできません。
貴方が休んだ分、手取りはどんどん減っていきます。お客様にもご迷惑をかけてしまいます。
その他のデメリットとしては
- トリミング以外の仕事が増えるので犬と接する時間が減る
- 他のトリマーさんとの交流が少なく。切磋琢磨ができない。いつの間にか流行から取り残されることも、、、
- トリミングしかできないので、一つのお店で済ませたいという飼い主様の要望に応えられない
開業のメリット
ここまで開業のデメリットについて話してきましたが、開業にはもちろんメリットもあります。
個人的に一番大きいなと思うのは、自分の好きなようにできる、ということです。
私も自分が誰かの意図や指示をくみ取って動くということが苦手な性格でした。
開業すると、自分で何事も決めなければならず、それは大変ではあったのですが、自分が決めたことなので失敗しても納得がいきました。
会社だと、自分がどう思っていても上が決めた方針に従わなければならないので、つらいところです。
開業した後は労働時間はずっと増えて、もちろん大変なこともたくさんありましたが、ある程度軌道に乗ると自分の好きに働けるようになるので、精神的なストレスは減りました。
お店のルールも自分で決めることができますし、自分のワンちゃんを連れて出勤する、なども自由にできます。
収入の面でもシミュレーションをしたものの、手取りを上げる方法はたくさんあります。
- 1日4頭トリミングをする
- トリミングの料金を上げる
- 小売りをする
- ペットホテルを併設する
などなど
まとめ
ここまでの話をのまとめです
開業 | 店舗で働く | |
メリット |
・自分で全てのものごとを決定できる ・(△)収入が上がる場合がある |
・収入が安定している(代わりの人がいる、有給がある) ・同僚と切磋琢磨ができる ・実務だけをしていればよい |
デメリット |
・収入が不安定(代わりの人がいない) ・切磋琢磨ができない ・全体として犬と接する時間が減る ・トリミング以外の仕事がある |
・収入が上がらない場合がある ・できることが限られる |
(*)参考:トリマーさんが長時間労働になりがちな理由
上記のことを考慮すると開業に向いている人、向いていない人は以下のようになるでしょうか
開業に向いている人
「自分のやりたいことがあり、既存のお店ではそれが実現できない」
「労働時間が増えても大きく収入を上げたい」
かつ
「事務仕事をそこまで苦としない」
「自発的に成長ができる」
人だといえます。
逆に、現状の仕事内容のまま収入を上げたい、事務作業が苦手という人はスタッフとして働く中でキャリアアップする方が良いと言えます。
→開業を目指して修行をしたいなら川崎のペットサロン デルタへ
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