2020/09/29
こんにちは。
ペットホテル&サロン デルタのオーナー佐々木です。
お客様の中にはサロンだけでなく、ご自宅でもシャンプーをしているお客様もいらっしゃるかと思います。
この時に「どのシャンプーを選べば良いのだろう」と迷ったことはございませんか?
今回は愛犬のシャンプーを選ぶ際に注意して欲しい「界面活性剤」について書かせて頂きます。
そもそもシャンプーとは
現代のほとんどの日本人は毎日シャンプーをしていると思います。
すっかり生活の中になじんだシャンプーですが、なんのためにするのでしょうか?
シャンプーにはいくつかの役割があるのですが、一番の目的は皮脂などの油汚れを取ることにあります。
お湯で髪を流すと、ホコリなどの汚れの大部分は取れると言われています。
一方で、皮脂や油分の汚れは水で流しただけだと取れない場合があり、シャンプーに含まれている界面活性剤によりこれらの汚れを落とします。
汚れ落ちのプロセス(引用:日本石鹸洗剤工業会)
界面活性剤で刺激の強さが決まる
界面活性剤は汚れを落とすのに必須の原料ではありますが、一方で使い方を間違えると皮膚に必要な成分も落としてしまうなどのリスクがあります。
お客様からよく聞かれる質問のひとつに「低刺激シャンプーを使用していますか?」というものがあります。
ワンちゃんに何らかの皮膚トラブルを抱えていたり、以前シャンプーした際に問題が起こった飼い主様が多い印象です。
シャンプーの刺激の強さは、界面活性剤により決まります。
界面活性剤は汚れを取る効果がありますが、人も犬もある程度は皮脂などの油分が残っていた方が、皮膚のバリア機能が保たれ健康に過ごせます。
強力な界面活性剤は、汚れを取るときに必要以上の油分を取り去ってしまうため、人(犬)によっては悪影響を及ぼす場合があります。
シャンプー後によく体を掻いている、フケが出やすくなる、などの症状が出る場合は、シャンプーの刺激が強すぎる可能性があります。
ちなみに代表的な界面活性剤は以下のようになり、量販店などで売っている安価なシャンプーには高級アルコール系と言われる界面活性剤が使用されている傾向が強いです。
これは安価で泡立ちやすく、洗浄力も強いのですが、刺激が強すぎる場合があります。
低刺激のシャンプーを選びたいのであれば、石鹸系やアミノ酸系の例にある界面活性剤を使用しているシャンプーを利用しましょう。
パッケージにに低刺激と書いていても高級アルコール系の界面活性剤を使用している製品もありますので注意が必要です。
種別 |
内容 |
例 |
高級アルコール系 |
石油から作られる界面活性剤。高い洗浄力、脱脂力、起泡力が期待できるが、洗浄力が強すぎるため刺激が強いと言える。安価なため、価格の安いシャンプーに使われがち。 |
ラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、ライレス硫酸アンモニウム |
石鹸系 |
植物油から作られており、比較的穏やかな洗浄効果が期待できる。アルカリ性の洗浄剤となり、皮膚表面のpHが一時的にアルカリ側に傾くことや、キューティクルの開きや毛のきしみ、石鹸カスなどが問題となることがある。 |
オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム |
アミノ酸系 |
アミノ酸と脂肪酸から作られる界面活性剤。洗浄力や脱脂力、起泡力は高級アルコール系に劣るが、毛や皮膚への刺激が少ない。 |
オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム |
敏感肌のワンちゃんには低刺激シャンプーがお勧め
高級アルコール系のシャンプーは安く・洗浄力が高く良いこともたくさんあります。
強い洗浄力を持つシャンプーを使うと洗い方が未熟でもしっかりと汚れがとれ、時間も短くて済むなどのメリットもあります。
当店ではアミノ酸系の界面活性剤が使用されている低刺激シャンプーを利用していますが、これはワンちゃんの皮膚のデリケートさを重視した結果です。
人も犬も皮膚は角質層などから構成される表皮が外からの刺激(紫外線、菌、物理的刺激)から体を守っていますが、ワンちゃんは毛が全身を覆われているため、表皮の厚さが人間の1/3しかありません。
ワンちゃんの皮膚は人間よりもデリケートで、スキンケアが重要です。
実際に、当店にご来店されるお客様の中にも、フケが多い、よくかゆがっている、皮膚に病気を持っているなどの皮膚トラブルを抱えているワンちゃんが多いと感じています。
洗浄力が多少低くても、皮膚トラブルを起こさせないことを重視しています。
また、洗浄力が低いと言っても洗い方により十分清潔に仕上げることが可能です。
洗い方でも刺激は減らせる
お客様の中には、なかなかサロンに出すことができない、また低刺激のシャンプーが手に入りずらいという方もいらっしゃるかもしれません。
その場合は、高級アルコール系界面活性剤のシャンプーでも肌刺激を減らす方法があります。
①泡立ててからワンちゃんの体に塗布する
人間のシャンプーでも最近主流になっていますが、シャンプーを容器にとり、泡立ててから使うと皮膚への刺激を軽減できます。
原液を直接体につけて泡立てると、原液のついた場所への刺激が強すぎるのと、泡立てる時に皮膚をガシガシと擦りがちで、この時の物理的刺激も皮膚へのダメージになります。
②洗うときはマッサージするように
ワンちゃんの皮膚はデリケートです。指先でガシガシと汚れをこそぎ落とすように洗うと表紙が削れて皮膚のバリア機能が低下してしまう可能性があります。
泡をつけてやさしくマッサージするように洗うことでこれらのダメージを減らすことができます。
シャンプー選びは慎重に!
繰り返しになりますが、ワンちゃんの皮膚はデリケートで人間以上に気を使う必要があります。
このブログに書いた内容はシャンプー時に気を付けなければならない、ごくごく一部でしかありません。
ご自宅でシャンプーを行う場合は、行きつけのサロンさんに色々聞いて見ると良いと思います。
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サロンさんを選ぶ場合も肌のことが心配ならどういったシャンプーを利用しているか聞いて見ると良いと思います。
「どういったシャンプーを利用していますか?」
「界面活性剤は何系ですか?」
「どうやってシャンプーしていますか?」
などという質問にしっかり答えてくれるサロンさんが良いですね。