2020/03/02
こんにちは。川崎市幸区のペットホテル &サロン デルタのオーナー佐々木です。
冒頭の写真は愛犬デルタのご飯です。
見た目はあまりよくありませんねw
水でふやかしたドッグフード、煮たキャベツ、ミキサーにかけた人参を混ぜたものです。
割合は重量比で5:3:2。
実はこれ私の考案ではなくブリーダーさんから教えてもらっったフードをあげているのです。
そのブリーダーさんの所のワンちゃん達は長生きすることで有名で、最長で30年近く行きたワンちゃんもいたそうです。
一番初めにこのフードを伝えられたときは、なぜこれが良いのか理解できなかったのですが、栄養学の勉強をしているうちに科学的にも理にかなった健康的なフードであることがわかってきました。
肥満は健康にはよくない
本コラムの第1回「うちの愛犬、痩せてる?太ってる?」でも取り上げましたが、肥満は人間と同様、健康には良くないです。
内臓系から、体重が重いことで間接に負担がかかるなど、肥満が原因の様々な病気があります。
動物病院などで「もうちょっとダイエットしようね」と言われ(私もそうでした)、慌ててダイエットしようとするもうまくいかない、、、という飼い主様を良く見かけます。
犬の食事は人間が管理しているので、量を減らせば良いのですが、「少なくてかわいそう」と思い、たくさんあげてしまうのが原因のようです。
気持ちはものすごくよくわかるので、今回はフードの量を変えずに痩せられるかもしれない方法を紹介します。
肥満と血糖値
肥満とは脂肪を溜め込むことですが、食事をした後に血糖値が上がり、この上がった血糖値を下げる過程で血中の糖分を脂肪に変えて体に取り込みます(*1)。
そのため、この血糖値の上昇を下げることで、肥満を抑えられるかもしれないのです。
血糖値は炭水化物、タンパク質、脂質の順に上がりやすい。
開発途上国などで、栄養バランスの良い食事が取れない地域の方は、肥満傾向にあることがわかっていますが、これは肉や野菜を摂取できず、炭水化物を大量に取っているため、食後の血糖値が上がりやすいためと言われています。
人間の場合は、炭水化物を減らした食事を心がければ良いのですが、犬の場合食べるものはドッグフードなので、食事の内容を変えるのは難しいのが現状です。
もちろんタンパク質などの含有量の多いフードを選ぶことも選択肢として挙げられますが、価格は高くなります。
今回は、フードはそのままで血糖値の上昇を抑える方法です。
フードをふやかす
水やお湯などでフードをふやかしてあげることで、体内への吸収が緩やかになり、血糖値の上昇を抑えます。
また、フードに水分が含まれているので、水分摂取量が多くなり、尿路結石などができやすい子に有効である場合もあります(療養食に関しては獣医師の先生の指導を受けましょう)。
フードのカサ増しになるので、そのままあげるよりも満腹感が得られます。
デメリットは、ふやかしたフードは歯に付着しやすく、歯垢がつきやすくなります(歯磨きをしっかりしていれば防げますが)。
あとは好みの問題で、ウェットフードが苦手な子は食べないこともあるかもしれません。また、水分量が増え嗜好性が落ちるので、温めて匂いを強くしてあげるなどしてもよいかもしれません。
食物繊維を混ぜる
キャベツなどの食物繊維の豊富な野菜を混ぜることで、ふやかしたのと同様に血糖値の上昇を緩やかにする役割があります。
食物繊維は、犬の腸内細菌に良い影響を及ぼすという研究結果も出始めており、腸内環境の改善にも繋がるかもしれません。
また、ふやかした時と同様にフードの量が増えるので、満腹感を得られやすいというメリットもあります。
デメリットとしては、野菜嫌いなワンちゃんには向かないことと、ややめんどくさいということがあります。
普段から自炊をしている人であれば、材料の一部をワンちゃんのために取っておけばよいですが、あまり料理をしないのであれば、少し高いフードを買ったほうが楽かもしれません。
あげる回数を増やす
これは結構オススメの方法です。メリットがたくさんあります。
血糖値は、どか食いをすると上がりやすいので、何度かに分けてあげる方法です。
単純に回数を増やすのでなく、トレーニングの報酬としてあげれば余計なカロリーを使わずにしつけができますし、おやつを入れて遊ぶおもちゃなどであげると、犬の狩猟本能が刺激され、ストレス解消にもなります。
トイレットペーパの芯などにフードを入れて与えると、ワンちゃんが自分で芯を破壊して中身を食べます。これは野生時代に自分で獲物を狩って、それを噛みちぎって食べるという行動に近いので、本能的欲求を満たすといわれています(芯を食べてしまう子もいるので、よく注意してあげましょう)。
お留守番が多い子は、フードの一部をとっておき、上記の方法で出がけに与えると、お留守番での暇な時間が減るという効果もあります。
この方法は手軽で、汎用性もあり、肥満対策以外にもたくさんメリットがあるので、ぜひ試してみてください。
デメリットはほとんどありませんが、あえて言うと「満腹感を得られないストレスがあるかもしれない」ということでしょうか。
この方法でご飯をあげると、お皿で食べることが少なくなり「お腹いっぱい」という状態になることは無くなります。
この満腹感が精神的に与える影響はまだ解明されていない(はず)なので、「お腹いっぱいにならないことがかわいそう」と思われた場合、明確に反論できない状況です。
最後に
ワンちゃんの肥満の原因はほぼ100%飼い主様の責任です。
肥満がワンちゃんの寿命を縮めることは統計的には間違いありません。
愛犬のダイエットにお困りの方はぜひ試してみてください。
その他愛犬の食事に関する相談として2020年3月14日に「ドッグフードの選び方」セミナーも開催します。
*1.[太りにくい食べ方のコツ]TANITA HPより